今回は、四十肩・五十肩がどのような経過を辿っていくのか、
また、悪化するメカニズム・悪化しやすい方の特徴について書いていきたいと思います。
ぜひ、参考にしていただければと思います。
⚫︎はじめに
「四十肩・五十肩はほっとけば治るよ」
そんなことを聞いたこと、言われた経験はないでしょうか。
実際に当院には「ほっとけば良くなると言われたけど、よくなるどころかだんだんと痛みが強くなってきた」「気づけば4〜5年肩の痛みに悩んでいる」という方も多く来院されています。
四十肩・五十肩は、炎症による反応ですので、中には時間の経過とともに落ち着いてくる方がいるのも事実です。
しかし、四十肩・五十肩は何もしなければ完治までに短くても1年ほどかかると言われており、長い方だと4〜5年、それ以上続く方もいます。
そのまま放置してしまうと肩関節が変形してしまう可能性もあり、動作痛や極端な可動制限により日常生活にも支障が出たり、最悪の場合、手術が必要になってしまうほど症状が進行してしまうケースもあります。
人間関係や仕事でのトラブルと同じように、問題が起きているのに放置してしまうと、あとから対応が難しくなることがあります。
「痛み」は体からの大切なサインです。
違和感や痛みを感じた時に、きちんとご自身の体と向き合い、早めに対応していただくことをおすすめします。
⚫︎痛みの出やすい部位
四十肩・五十肩の正式名称は「肩関節周囲炎」と言います。
その名の通り、肩関節の周辺に起きる炎症なので、どこに炎症を起こすかは人それぞれになります。
また、4、50代に多い症状なのでそう呼ばれていますが、30代や6、70代の方でも発症します。
痛みの感じる部位も人によって異なります。
主に痛みを感じる部位としては、
①腕の横(三角筋)の辺り
②肩の後ろ側(肩甲骨)の辺り
③肩の前側の辺り
④肘〜腕にかけて
複数箇所に痛みを感じる方もいます。
痛みや違和感を感じた時点で対処をしていただくと、体への負担も少なくなります。
⚫︎四十肩・五十肩の3つの周期
四十肩・五十肩には基本的には3つの周期があります。
それぞれの周期の特徴など、あなたが今どの周期にいるのか参考にしてください。
①炎症期
四十肩・五十肩はまず「炎症期」から始まります。
炎症期はその名の通り、一番炎症が強い周期になるので、ハリで刺したような鋭い痛みを訴える方が多く、痛みが最も強い周期になります。
特に安静時や夜間の寝ている時に痛みを感じるのが特徴で、炎症が酷くなる恐れがあるので無理に動かしたりするのは避けましょう。
火事で例えると、出火した状態です。
ケアの仕方で、その場が焼けるだけで済むのか、燃え広がってしまうか、が変わってきます。
肩周辺に痛みを感じる症状は「肩板断裂」や「石灰沈着性腱炎」などの可能性もあるので、ご自身で判断せず、医療機関で検査をしてください。
診断名によって、当院でも施術の内容や対応の仕方が変わります。
②拘縮期(こうしゅくき)
炎症期の後に拘縮期という周期に入ります。
その名の通り拘縮(硬くなる)が起き、肩関節の動きが極端に制限されるので、凍結肩(フローズンショルダー)とも言われます。
安静時の痛みやハリを刺したような激しい痛みは落ち着くことが多いですが、大半の方は鈍い痛みが残ります。
拘縮期は炎症期の状態で変わります。
無理をして炎症が長引いてしまったり、なにもケアをせずにいると炎症が強くなってしまい、その後の拘縮がより強固になります。
火事に例えると、火の勢い(炎症)が強く、燃え広がってしまった状態です。
筋肉や関節包などの組織がくっついて硬くなってしまうので、強い痛みが出ない範囲でのストレッチをおすすめします。
そのままにしておくと組織がさらに硬くなってしまい、「本来なら1年ほどで治るはずが2年経っても治らない」といった長期化の原因となります。
しかし、痛みを我慢して無理やり動かしたり、ストレッチのやり方が間違っていたりすると再び炎症を起こしてしまう可能性があるので、病院や専門の整体院などでストレッチを教えてもらうのがいいと思います。
③回復期
痛みと可動域の制限が徐々に改善していく周期になります。
どのくらいで回復するのかは、炎症期・拘縮期をそう過ごしたか、どの程度重症化したかによって大きく左右します。
本来であれば、痛みも少しずつ軽減し、可動範囲も少しずつ広がっていきます。
しかし、炎症期や拘縮期が長引いたり、強く出てしまうと回復に時間がかかったり、回復しきれない可能性もあります。
火事に例えると、炎が強く、燃え広がってしまうと元の状態に戻したり、また家を建てるのに時間と労力がかかります。
逆に、炎が小さいうちから適切なケアをしていると、被害を最小限に食い止められる可能性があり、その後の回復も早くなります。
⚫︎四十肩・五十肩の要因・メカニズム
医療が発展した現代でも正確な原因については未だに解明されていません。
しかし、関連する要因やメカニズムについては多くのことが明らかになっていて、以下のことがわかっています。
①血流や修復力の低下による問題
日常生活で当たり前のようにやっている、歩く、階段の上り下り、重い荷物を持つといった動作でも、筋肉・腱・筋膜などの体の組織には小さな傷が付きます。
通常であれば、血液によって酸素や栄養が運ばれ、これらの傷は自然に修復されます。
しかし、加齢や生活習慣などの影響によって血液の循環が悪くなると、修復が追いつかず、負担が蓄積していきます。
その結果、「無菌性の炎症」を引き起こし、激しい痛みを感じるようになります。
※無菌性の炎症とは、ばい菌や細菌が原因ではなく、体の中の負担や修復不全によって起こる炎症のことです。
②コラーゲン繊維の変化
全ての関節ではありませんが、肩関節をはじめ、股関節や膝などの関節は、コラーゲン繊維や線維細胞で構成されている「関節包」と呼ばれる組織で包まれています。
関節包の役割は、関節を包み込んで安定させ、関節の潤滑や栄養の供給を助けてくれます。
しかし、偏った生活習慣などの影響で、体内のタンパク質(コラーゲン)が糖と結合する「糖化」と言われる現象が起こります。
この糖化が進むことにより、関節包が硬くなり、厚くなることで柔軟性が失われ、極端な可動制限や痛みが発生します。
また、加齢により、関節包などの組織が変異することでも、硬く厚くなり、癒着(くっついてしまう)が起こり、極端な可動制限やそれに伴う痛みが発生します。
③血糖値・甲状腺などの問題
糖尿病、あるいは血糖値が高い傾向にある方は、そうでない方に比べて四十肩・五十肩を発症するリスクが数倍高く、さらに重症化しやすく治りにくいことが論文で発表されています。
高血糖の状態が血管や神経の障害を引き起こし、前項にあるように「糖化」により炎症が起こりやすい為だと言われています。
甲状腺などのご持病がある方も、組織の代謝が低下し、酸素・栄養の供給が阻害され、炎症を起こしやすくなる可能性があります。
⚫︎四十肩・五十肩でお悩みなら
ここまでお伝えしてきたように、
四十肩・五十肩は原因や経過が人によって大きく異なります。
そのため、「とりあえず揉む」「とりあえず動かす」だけでは、かえって長引いてしまうケースも少なくありません。
当院では、現在の状態や生活背景を踏まえた上で、体と向き合っていくことを大切にしています。
お悩みの方は、一度ご相談ください。